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元気ファーム津久見からのお知らせ
#ライフスタイル おっっ！ おれの！エアーポッズが線路の敷石のすき間に消えていく～～！！！
2020-10-22
おれ、山田４５歳、システム会社の社長。
と言って、おれの場合、誰も社長なんてやりたくてやってるわけじゃない。
去年社員総会の席、現会長から
「山田君、次の社長は君だ。頼んだよ！」
「なんで、おれなんすか？」
周囲は冷ややかな目で、乾いた拍手。
元々、大手機械メーカーの１００％下請けで仕事はちゃんとあるし、
社長と言ってもただの業務管理責任者みたいなもん。
おれで４代目。
「私もちゃんとフォローするから、一緒に頑張ろう！」
そう言った会長は全く出社しない。コロナですっかり引退気分。
コロナ感染予防のため、元請けからもテレワークするよう指示。
このだだっ広いオフィスに毎日出社するのは業務管理責任者のおれただ独り。
外部からの電話をおれの携帯に転送するようにした。
で、エアーポッズ！
こいつさえあれば、どこにいても相手に気づかれずに自然に電話を受けられる。
おれ以外、社員全員テレワークで仕事は普通に回ってる。
毎日おれ一人出社して、中継役。これで十分回るってことは、こんなでかいオフィスも
必要ないってか。
今流行りの駅近のタワーオフィスビルのコンパクトなオフィスを見にいった。
おしゃれなラウンジに、共有スペースでは異業種交流ができて、集中したい時は
個別ブースもある。大幅な家賃の節約にもなる。
いくらテレワークで仕事が完結すると言っても、またには顔を合わせて、
直に話をすることも必要だよ。
そんなことを考えながら帰途に就いた。夕方の駅のホーム、
いくらコロナで人は少ないとは言え、それなりに混、る。
あれこれ考えながら、もうエアーポッズも業務終了と取った瞬間、すれ違う人の肩に触れて
宙に舞った。
ああ～～！おれのあエアーポッズがーー！
ピンぽーーん！
「どちら！飛び込み営業お断りって、張ってるでしょ！」
「おととい駅のホームで線路にエアーポッズを落とした山田社長さんですよね！」
「ああーー！！君はあの時の駅員さん！」
「ラッシュ時で電車止めるわけにいかないし、見つかったらでいいからって
名刺渡されて、そのまま行っちゃったから。」
「みっともないしね。」
「受付もしてないし、でも名刺もらったし。同僚と相談して、
とにかくエアーポッズを探そうって。
ありました、どうぞ！！」
「まじっ！ありがとう！！」
「いただいた名刺の電話番号に何度かお電話したんですが、お出にならなくて」
「ああ、これがないもんだから、つい取り損なってね。」
「今日、僕休みで駅から近いから届けに来ました。」
「まじ！！わざわざありがとう！！」
「喜んでいただけてよかったです！ 僕、人と直に関われる仕事がしたくって
駅員になったものですから！！！」
